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市役所・区役所などの遺産相続の無料相談の利用方法と注意点

遺産相続について分からないことや不安なことが生じた場合に、「役所で相談できないか?」と考える方が多いのではないのでしょうか?

役所なら、無料で相談でき、信頼できそうですが、注意点もあります。

この記事では、役所での遺産相続の無料相談の利用方法と注意点について、わかりやすく丁寧に説明します。

是非、参考にしてください。

なお、役所には、市役所、区役所、町役場及び村役場がありますが、以下では、これらを総称して、「市役所」とよぶことにします。

[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。

市役所によって相談制度が異なる

相談制度の有無や内容は市役所によって異なります。

一般的に、人口の多い自治体では実施されていることが多く、人口の少ない自治体では実施されていないことが多いでしょう。

市役所による相談制度の例

以下では、記事執筆日現在の横浜市で実施している相談制度を基に説明いたしますが、これに近い制度を実施している市役所が多い一般的な制度となっているので、他の自治体にお住まいの方も参考になるかと思います。

遺産相続に関して、横浜市で行える相談は、下の表のとおりです。

相談員内容相談方法相談時間回数制限
弁護士
※専門分野は選べません
法律問題全般電話又は対面25分以内年度内一人2回以内
ただし、1日1回まで
司法書士登記など電話25分以内年度内一人1回以内
公証人遺言、任意後見契約等の公正証書
※公正証書に書く内容が全く決まっていない場合は、先に弁護士の法律相談をご利用ください。
電話
※対面相談をご希望の方やお急ぎの方は、各公証役場で無料の相談を行っているのでそちらをご利用ください
25分以内特になし

各専門家が相談内容に応じた一般的な説明を行い、問題に対しての対処方法や手続きの仕方、解決に向けて専門家に依頼すべきかどうかなど今後の対応について専門家からアドバイスを受けることができます。

なお、相談内容については秘密を守り、一切公表されません。

相談に際しては、次の点にご注意ください。

  • 対象者は横浜市民のみで、横浜市民ではなく横浜市内に通勤・通学しているという方は対象外です。
  • 遺言書等の書類の作成、内容のチェックなどは行いません。口頭で相談したい内容をご説明ください。
    ※書類の作成、内容のチェックなどは、弁護士にご相談ください。
  • 担当した専門相談員に直接問題の解決や具体的な仕事を依頼することはできません。
  • 弁護士職務規程や司法書士倫理に定められている規定に抵触する場合など内容によっては相談をお断りする場合があります。
  • 各専門相談員の職務、業務等が法律で定められている場合は、その範囲内での相談となります。(弁護士と司法書士は相続税・贈与税等の税金の話は専門ではないため詳しいことが分からない場合があります。税金の相談は税理士か税務署にお願いします。)
  • 相談の案件によっては、専門相談よりも所管部署をご案内する場合があります。
  • 相談の内容等、後日のお問い合わせにはお答えできません。
  • 相談担当の弁護士は神奈川県弁護士会から順番に派遣されてきます。神奈川県弁護士会には約1700名の弁護士が所属しているため、1回目と2回目はほぼ違う弁護士になります。
    ※同じ日に2回相談を受けることはできません。
  • 相談担当の弁護士は神奈川県弁護士会から順番に派遣されてくるため、弁護士を選ぶことはできません。また市役所では担当弁護士の得意分野や所属事務所等も把握していません。
  • 相談時間の延長はできません。
  • 相談には事前予約が必要です。

なお、横浜市は政令指定都市なので行政区をもちますが、法律相談は区役所ではなく市役所で実施しています。ただ、大阪市等の他の政令指定都市には、市役所ではなく区役所で実施しているところもあります。

市役所以外に相続相談を実施している機関

市役所以外に相続相談を実施している機関には、次のようなものがあります。

  • 各弁護士会
  • 法テラス
  • 都道府県

以下、それぞれについて説明します。

各弁護士会

全国の弁護士会には法律相談センターが設置されており、相続問題等について弁護士に相談できます。

ただし、有償の場合もあるので、ご注意ください。

お住まいの地域の法律相談センターはこちらのページから探すことができます。

法テラス

「法テラス」は、正式には「日本司法支援センター」という名称で、国によって設立された法的トラブル解決のための「総合案内所」です。

法テラスを利用すると、法テラスと契約している弁護士・司法書士の無料法律相談を受けることができます。

ただし、利用にあたっては、原則、収入や資産が一定額以下であるなどの条件があります。

利用基準については、法テラスのウェブサイトのこちらのページでご確認ください。

利用基準を満たす場合は、法テラスを利用できますが、以下のような注意点を考慮のうえ、利用するかどうかを決めるとよいでしょう。

  • 審査が通るまでに時間がかかる
  • 専門家を自由に選べない
  • 比較的経験の浅い専門家が多い傾向がある

お住まいの地域の法テラスはこちらのページから探すことができます。

都道府県

都道府県でも、弁護士による法律相談を実施している場合があります。

お住いの区市町村に法律相談の制度がない場合は、都道府県にも確認してみるとよいかもしれません。

現在では市役所で法律相談をする意義は乏しくなった

かつては法律相談が基本的に有料であったため、市役所の実施する無料相談は貴重な機会でしたが、現在は、弁護士報酬の自由化によって無料相談をおこなっている弁護士が多数存在しており、また、当サイトのようなサイトを利用して無料相談をおこなっている弁護士を探すことも容易であるため、弁護士を選べない役所の無料相談を利用する意義は乏しくなったといえるでしょう。

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