相続人調査の弁護士費用の相場と実例。誰が払う?選び方も説明
相続人調査を弁護士に依頼すると、いくらぐらいの費用がかかるのでしょうか?
また、弁護士費用は誰が払うのでしょうか?
弁護士に依頼するメリットや選び方についても説明します。
是非、参考にしてください。
[ご注意]
記事は、執筆日時点における法令等に基づき解説されています。
執筆後に法令の改正等があった場合、記事の内容が古くなってしまう場合がございます。
法的手続等を行う際は、弁護士、税理士その他の専門家に最新の法令等について確認することをお勧めします。
日弁連の旧規程
弁護士費用について、かつては、日本弁護士連合会(日弁連)によって基準が定められていましたが、2004年4月1日にこの規程は廃止され、各弁護士が自由に料金を設定できるようになりました。
しかし、現在でも、弁護士が料金を設定する際に日弁連の旧規程が参照され、実質的に相場を形成する役割を担っている感があるので、旧規程について説明します。
旧規程では、裁判外の事実関係調査を含む法律関係調査の手数料として、基本的なケースにおいては5万~20万円(この範囲内で各弁護士会が「標準となる額」が定めていました)、特に複雑又は特殊な事情がある場合は「弁護士と依頼者との協議により定まる額」とされていました。
相続人調査も、この法律関係調査の一種であり、この規定が適用されていました。
相続人調査の弁護士費用の実例
それでは、相続人調査に対応している弁護士の費用の実例(Google検索で上位表示された弁護士の中で相続人調査の費用の記載があるもの)を紹介します(消費税別の金額です)。
神戸市の弁護士の例
神戸市に事務所を構えるある弁護士の相続人調査費用について説明します。
この弁護士の相続人調査費用は、5万円となっています(ただし、印紙代や戸籍などの取得手数料は別途)。
なお、相続人調査、不動産調査、遺言調査、金融機関調査がセットになった相続調査パックは11万円となっています。
新潟市の弁護士の例
新潟市に事務所を構えるある弁護士の相続人調査費用について説明します。
この弁護士の相続人調査費用は、5万~10万円(ただし、実費は別途)となっています。
横浜市の弁護士の例
横浜市に事務所を構えるある弁護士の相続人調査費用について説明します。
この弁護士の相続人調査費用は、基本費用として3万円、戸籍・住民票等取得費用として1通2千円となっています(ただし、実費は別途)。
例えば、戸籍・住民票が10通必要となった場合は、「3万円+2千円×10通=5万円」となります。
全国に拠点をもつ大手弁護士事務所の例
全国に拠点をもつある大手弁護士事務所の相続人調査費用について説明します。
この事務所の相続人調査費用は、3万5千円となっています。
ただし、相続人数6名までとし、7名以上の場合は、1名あたり追加費用5千円が発生します。
大阪市の弁護士の例
大阪市に事務所を構えるある弁護士の相続人調査費用について説明します。
この弁護士の相続人調査費用は、5万円となっています。
相続人調査の弁護士費用は誰が払う?
相続人調査の弁護士費用は誰が払うのでしょうか?
基本的は、依頼した人が払うことになります。
しかし、相続人調査は相続人全員のために行うものなので、弁護士への支払いは依頼した人が行ったとしても、最終的には相続分に応じて負担するのが平等であると考えられます。
もっとも、他の相続人に断りなく弁護士に依頼して事後的に費用の負担を求めた場合、「弁護士に依頼することに同意していない。自分たちで出来たはずだ!」などと主張されると、負担を求めるのは難しいでしょう。
したがって、他の相続人に弁護士費用の負担を求めたい場合は、事前に、弁護士に依頼することに了解を得ておくとよいでしょう。
もっとも、相続人調査の弁護士費用は、前述のとおり、それほど高額ではありませんから、費用負担は求めずにさっさと弁護士に依頼するという人も多いです。
相続人調査を弁護士に依頼するメリット
相続人調査は自分で行うこともできますが、弁護士に依頼すると、次のようなメリットがあります。
- 確実である
- 手間がかからない
- 早期に調査を終えることができる
- 相続関係説明図を作成してもらえる
- 他のことも相談できる
これらの点について、以下、それぞれ説明します。
確実である
相続人調査は戸籍謄本等を収集して行いますが、その際には亡くなった人が生まれた時の古い戸籍謄本等も必要なります。
昔の戸籍謄本等は、草書体で書かれている等、一般の人には読み解くことが難しい場合もあり、自分で相続人調査を行おうとすると、不確実な調査となってしまうおそれがあります。
誤った相続人調査に基づいて遺産分割が行われると、やり直しが必要となり、余計に手間や費用がかかってしまいます。
この点、弁護士は昔の戸籍謄本にも慣れており、確実な相続人調査が可能です。
手間がかからない
一般の方が、必要となる戸籍謄本の種類、取得方法、解読方法等を理解し、相続人調査を行うことは大変です。
戸籍謄本等は役所で取得しますが、役所は平日の日中しか空いていないので、その時間帯に仕事をしている人は、役所に行く時間は中々とれないでしょう。
また、遠方の戸籍は郵送で交付申請をすることになるでしょうから、申請書の書き方を窓口で尋ねながら行うこともできません。
そして、相続人調査では、戸籍謄本等の内容を読み解きながら、一つ一つ戸籍を遡って調査しなければなりません。前述のとおり、亡くなった人が生まれた時の古い戸籍謄本等も必要となり、中には解読が極めて難しいもののあります。
弁護士に依頼すれば、このような手間をかけることなく、相続人調査を行うことができます。
早期に調査を終えることができる
相続人調査に慣れてない一般の人が自分で調査を行うと、どうしても日数がかかってしまうものです。
相続人調査は、相続手続きの入り口であって、ここに日数がかかってしまっていては、いつまで経っても遺産が取得できないということになりかねません。
この点、弁護士に依頼すれば、相続人調査を早期に終えることができます。
相続関係説明図を作成してもらえる
弁護士に相続人調査を依頼すると、通常、相続関係説明図を作成してもらえます。
相続関係説明図とは、亡くなった人の相続人が誰で、各相続人が亡くなった人とどのような続柄なのかという相続関係を説明するための家系図のような図のことです。
相続関係説明図は、不動産や預貯金等の相続手続き時に提出することで、戸籍謄本等についてコピーを提出しなくても原本の還付を受けられるというメリットがあります。
相続手続きでは手続きの都度大量の戸籍謄本等が必要になりますが、それでは、手間も費用もかさんでしまうので、相続関係説明図を提出することで戸籍謄本等の原本の還付を受けると、戸籍謄本等の取得の手間と費用が削減でき、大変便利なのです。なお、相続関係説明図がない場合でも戸籍謄本等の原本の還付を受けることはできますが、その場合には戸籍謄本等の全部のコピーを提出する必要があるなど手間がかかります。
他のことも相談できる
相続人調査は相続手続きの入り口に過ぎず、相続完了までの間に再び弁護士に相談したい事柄が生じる可能性があります。
そのような場合に、相続人調査を依頼した弁護士に相談すると、既に相続人関係が把握できているので、話が早いでしょう。
なお、複数の手続きを同じ弁護士に依頼すると、一つ一つの手続きについての費用が割安になることがあります。
相続人調査を依頼する弁護士の選び方
以上、相続人調査の弁護士費用について説明しました。
相続人調査を依頼する弁護士はどのように選べばよいのでしょうか?
調査自体は、弁護士であれば、それほど難しいものではありませんが、その後、他の手続きについても相談する可能性があることを念頭に置いて、慎重に弁護士を選ぶべきでしょう。
次のような点を意識して弁護士を選ぶとよいでしょう。
- コミュニケーションがとりやすいか
- 信頼できるか
- 費用が不合理に高くないか